大気が汚染されているところで育つと統合失調症のリスクが上がる?

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私は子どものころ、喘息に苦しめられました。

 

成長するにつれて長らく喘息は落ち着いていましたが、

大学生になって滋賀県大津市から静岡県浜松市に引っ越しました。

 

浜松市はなかなかの車社会であり、どこに行っても交通量が多く排気ガスも蔓延しているように感じました。

浜松市に住み始めて2か月程度たったころ、

復活しました。

 

喘息が。

 

10年ぶり。

 

病院に行くと、「車が多いところに住んでいると小児喘息だった人が、成人で喘息が復活する人が多いんだよ」と呼吸器の先生に言われました。

 

あぁ・・びわ湖のほとりに帰りたい。

 

 

 

実際、住んでいる地域の環境は健康にかなり影響することがわかっています。

だいぶ前にこの記事にも書きましたが、大気汚染が原因で多くの人が病気になっていることがわかっています。

本当の死亡原因ランキング

10年後には環境汚染が原因の呼吸器疾患や感染症で死亡する人がかなり増加すると予想されています。

 

環境はみんなで大切にしましょう。

 

 

 

おっと、話を終わらせるところでした。

 

実は大気汚染によって起こる病気は呼吸器疾患だけではないのです・・・。

 

なんと精神疾患との関係もあることが明らかになりつつあります。

 

この記事では大気汚染と統合失調症の関連を調べた研究を紹介します。

 

空気が悪いところに住んでいると統合失調症になる?

 

研究はデンマークで行われました。

小児期に二酸化窒素にどれだけ曝されていたかと、将来の統合失調症発症の関連をpolygenic risk scoreを用いて調べています。

polygenic risk scoreとは詳細はここでは説明できませんが、

特定の遺伝子座を調べる手法です。

 

また二酸化窒素とは、工場のばい煙などに多く含まれるもので、大気汚染の主要な原因物質のひとつです。

 

デンマークで1981年5月から2002年12月に生まれた子が最長10年追跡されました。

統合失調症の診断、他国への移住、死亡または10歳の誕生日により追跡は終了しています。

 

二酸化窒素にどれだけ曝されていたかは、

10歳までの居住地から見積もられました。

 

統合失調症を発症するかどうかをコックス比例ハザードモデルにより計算されました。

 

要するに、

空気の悪いところに住んでいた子が統合失調症を発症するリスクが高くなるかどうか

を調べたという事ですね。

 

さて、結果はどうだったのでしょうか。

 

23355人が調べられました。全てデンマーク人です。

51.3%は男児でした。

 

研究期間内に3531人が統合失調症と診断されました。

 

統合失調症に関する遺伝子座と二酸化窒素曝露は、相関係数が0.08(p<0.05)で二酸化窒素曝露が多いほど統合失調症に関する遺伝子があることがわかりました。

 

そして、

 

なんと!!

 

子どものころの二酸化窒素曝露が10μg/m*3増えるごとに、統合失調症発症のリスクが1.23倍上がる

 

と言う結果が出ました。

 

大気が汚染されていればされているほど、

統合失調症の発症リスクが高まることが明らかになったのです。

 

 

大気汚染ってやっぱり恐ろしい。

 

呼吸器疾患だけでなく、精神疾患のリスクも増やすんですね。

 

 

この研究からは、大気汚染がどのような病原性を持って統合失調症を発症させたかまではわかりません。

 

そのため、まだ未知のことも多いのですが、

やっぱり関係はありそうという事ですね。

 

 

何となく、デンマークって空気がきれいそうなイメージがありますが、

日本と同じように1900年代後半は大気汚染がひどかったのかもしれませんね。

 

 

「空気の綺麗なところで子どもを育てたい」

 

という人もたくさんいますが、この研究結果はその人たちの意見を後押しする結果となりました。

 

 

私は空気も大事だけど、選択肢が多いことも大事なのでやっぱり子どもは都会に出したいかなぁ・・・。

 

引用はJAMAからです。

全文読めます。

 

引用元

Horsdal HT, Agerbo E, McGrath JJ, et al. Association of Childhood Exposure to Nitrogen Dioxide and Polygenic Risk Score for Schizophrenia With the Risk of Developing Schizophrenia. JAMA Netw Open. 2019;2(11):e1914401. doi:https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2019.14401

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