学会発表 口述発表とポスター発表の違い

Pocket

もうすぐ学会発表があり、その準備をしています。

 

思えば久々の日本語での口述発表。

 

国内で口述発表をするのは何と2年ぶり

院生の時は年間5回くらい発表してたのに。。

 

学会発表をしようと思う時に、選ぶのが「口述発表」「ポスター発表」か。

私は「どちらでも良い」を選んだら今回は口述発表になりました。

どちらを選べば良いでしょうか?

 

口述発表とポスター発表はどう違うのでしょうか。

どちらが初心者向きなのでしょうか。

どちらが準備が大変なのでしょうか。

 

口述発表とポスター発表の違いをまとめてみました。

学会発表の時の参考にしてください。

目次

 

1.発表形式とは

学会で発表しようとする場合、抄録(Abstract)を登録します。

今はほぼ全ての学会がオンラインでの登録だと思います。

私はオンラインでの登録しかしたことありません。

抄録を登録して、名前や所属などを入れていると、

「発表形式」を選択できる場合が多いです。

どういう方法で発表をするのか。ということです。

 

発表形式は主に2種類。

 

「口述」または「ポスター」から選ぶことになります。

英語では「Oral Presentation」または「Poster Presentation」です。

 

この発表形式の選択が結構重要なのです。

ちなみに、「どちらでも良い」という項目があることもあります。

大体私は国内の学会は「どちらでも良い」にするのですが、

7割くらいの確率で口述発表になる気がします。

 

口述発表とポスター発表の大きな違いは、

口述発表はパワーポイントを作ってスライドショーを用いて発表します。

ポスター発表はポスターを作ってそれを指定されたところに貼って発表します。

ではそれぞれを詳しく説明します。

 

2.口述発表とは

口述発表とは、パワーポイントを作ってパソコンとスクリーンを使って発表を行います。

こんな感じです。

前に大きなスクリーンがあって、それに自分のスライドが映し出されます。

多くが写真のような50人程度が定員の部屋で行われますが、大きいところだと何百人も入る部屋で行うこともあります。

人の興味を引くタイトルだと写真のように立ち見も出ます。

 

発表はセッションごとに行われます。

1つのセッションは5演題程度のことが多く、50分程度で組まれることが多いです。

という事は、1演題当たりの持ち時間は10分程度です。

多いのが発表5分または7分、質疑応答3分というのが多いです。

発表時間は厳密に守る必要があります。

発表終了1分前と終了時間に合図をしてくれます。終了時間を超えることは印象が良くありません。

 

各セッションにはそのセッションの発表を取り仕切る「座長」と呼ばれる人がいます。

座長は司会進行役とセッションの討論を促すのが役割です。

 

座長が発表者とタイトルを紹介→発表者が発表を開始→発表終了後、質問

と言う流れです。

質問も座長が促します。

質問者は挙手をして、座長に当てられてから質問します。

質問が出ない場合は座長から質問が来ます。

そのため、どんな発表でも1つか2つは質問が出ます

 

発表者はその質問にしっかり答える必要があります。

 

内容もさることながら、質疑応答の受け答えや態度などが求められます。

 

そして質問タイムが終われは発表終了です。

セッション終了後に、質問してくれた人や座長と名刺を交換したりすることもあります。

 

3.ポスター発表とは

 

ポスター発表はポスターを作成してそれを指定された場所に貼って討論します。

こんな感じ。

奥のパネルに貼ってあるのがポスターです。

ポスターを見ながら討論します。

 

学会へ行くと、「ポスター会場」なる場所があります。

そこにはたくさんのパネルが並べてあり、番号が振ってあります。

自分のポスターの番号のところに自分のポスターを貼ります。

 

会場は学会によっていろいろですが、

ポスター演題が30台程度の学会もあれば、100演題や200演題を超える学会もあります。

 

ポスター発表には、「ポスター貼り付け時間」「閲覧時間」「発表時間」「ポスター撤去時間」があります。

朝にポスターを貼りつけて、昼頃や夕方に発表して、学会終了と同時に撤去と言う場合が多いです。

 

ポスター発表と言うのは、時間が決められているのですが、フリー討論の場合が多いです。

どういうことかと言うと、

発表時間(多くが60-90分)の間は自分のポスターの前に立っておきます。

そして、自分のポスターに興味を示した人や、質問をしてくれた人と討論します。

 

発表者以外は自由にポスターを見て回り、自由に討論します。

 

ごくまれに、ポスター発表でもセッションが設けられていて、各ポスターのプレゼンテーションがある場合があります。

その場合の発表時間は3分程度のことが多いです。

 

参加者が多い学会だと、上に載せた写真のようにポスター会場には人が殺到して、そこら中で討論が行われます。

私もこの写真の学会でポスター発表を行ったのですが、60分の討論時間で15人程度と討論をしました。

 

4.ポスターと口述 初心者向けなのは?

 

どちらが初心者向けなのでしょうか。

はじめて学会に参加する人とかに良く聞かれますが、

その質問が難しい。。

 

おそらく初心者に向いているのはポスターです。

 

なぜなら、討論が1対1でできるからです。

口述発表は会場の人全員との討論です(質問者は1人ですが)。

どちらかというと受け答えが落ち着いてできるのがポスター発表ではないでしょうか。

 

例えば質問者の意図が分からなかったときでも、落ち着いて「○○という点についての質問ですか?」と聞き直せたりします。

ただ、ポスターを使って伝えたいことをしっかり伝えるというのはとても難しいです。

ポスターのつくり方やレイアウト、文章表現などは口述発表のパワーポイントよりも工夫が必要です。

パワーポイントのスライドをただ並べただけでもポスターは成り立ちますが、

一枚にまとめた方がカッコいい。

当日の発表が易しいのはポスター発表、資料作りが易しいのは口述発表と言えるかもしれません。

 

では、次にその準備についてです。

 

5.ポスターと口述 準備の違いは?

 

ポスター発表と口述発表。

発表前の準備で大変なのはおそらくポスター発表の方です。

なぜ大変かと言うと、

・レイアウトが難しい

・印刷が大変

・当日の持ち運びが大変

なのです。

 

まず発表資料についてですが、

自分の伝えたいことを伝え、良い討論ができるような発表資料を作るのはとても大変です。

大変なのはポスター発表でも口述発表でも同じです。

ただ、時間の使い方が難しい口述発表に対して、

レイアウトが難しいのがポスター発表です。

 

口述発表はスライドショーを自分で進めながら、自分の言いたいことを言えます。

事前の準備と練習さえしっかりしておけば、発表時間の5-7分は何とかなります。

その後の質疑応答はもちろん大変ですが。

 

ポスター発表は、自分のペースで発表するというよりは、見る人がどこを見るかで発表の捉え方が全く異なります。

結果の図だけを見る人もいれば、結論や考察に注目する人もいる。

自分の言いたいことを言うにはどうしたらいいのかを考えてレイアウトを作らなければいけません。

それがとても難しいことなのです。

 

それぞれの資料の作り方はまた記事にしようと思います。

 

次に印刷です。

口述発表は、発表当日にUSBメモリーでデータを持って行き、受付でパソコンにデータを入れる必要があります。しかし資料を印刷しておく必要はありません。

ポスター発表は当日までにポスターを印刷して持って行く必要があります。

ポスターは多くがA0サイズ(841×1189㎜)前後のものを用意します。

もし、1枚で印刷したければ業者に頼むのが一番良いと思います。

大体ネット上の業者を使えば送料込みで1枚3000円程度でできます。

ただ、発表前日まで資料を変更できる口述発表と異なり、ポスター発表は資料の印刷にかかる日数を考慮して作成する必要があります。

例えば日曜日に発表があるとして、土曜日に前日入りするとします。

ポスターは土曜日に持って行くとすると、金曜日までには自宅や職場に届く必要があります。

印刷にかかる日数が2日、運送にかかる日数が2日とすると、月曜日にはポスターが完成しておく必要があります。

約1週間前ですね・・・。

これがポスター発表の最も大変なところかもしれません。

 

最後に当日の持ち運びです。

口述発表はデータをUSBメモリーに入れるだけなので荷物はほとんど増えません。

ポスター発表ではポスターを持って行く必要があります。

紙で印刷したポスターは、折り曲げると折り目がついて見た目が悪くなってしまいます。

そのためにクルクルと丸めて持って行くのが普通ですが、とてもカバンに入るサイズではありません。

なので、こんなケースに入れて持って行く人が多いです。

このケースだとポスターがクルクルと丸めて入れられて、折り目が付きません。

ただ、やっぱり荷物にはなります。

飛行機だと機内持ち込みができないサイズなので、預ける必要があります。

必ず自分のだとわかるようにしておきましょう。

 

6.その他の違い(実績は?服装は?値段は?)

 

口述発表とポスター発表のどちらでも自分の業績になります。

しかし業績の価値としては口述発表の方が評価される傾向にあります。

また、発表の時の服装ですが、

口述発表は基本的に正装(スーツ)が多いです。国際学会だと口述発表でもスーツでない人もいますが、特に医学の分野の学会では正装が多いです。

ポスター発表は国際学会ではスーツで発表する人の方が少ないです。特にネクタイやジャケットを着てる人はほとんどいないかもしれません。日本人は多いですが。

国内の学会ではポスター発表でもスーツで参加する人が多いかもしれません。

特に医学の分野ではスーツがほとんどじゃないでしょうか。

 

値段ですが、学会発表には参加費がかかりますが発表費はありません。

発表したからと言ってお金がもらえることもありませんし、参加費が免除されることもありません。

ただ、ポスター発表と口述発表で参加費が変わることもありません。

 

7.まとめ

ポスター発表と口述発表について書きました。

ポスター発表は、発表は比較的落ち着いてできるし、直接討論できるので名刺交換をしやすく仲間を増やしやすいです。その反面、資料を作るのが大変で、当日の持ち運びも大変です。

口述発表は、大勢を前に発表するので比較的緊張します。また質問の受け答えに対する態度などもより求められます。その反面、前日まで資料を変更できたり、当日の荷物が少なかったりします。

口述発表でもポスター発表でもどちらでも学ぶことはとても多いです。

また研究者仲間を増やす絶好の機会です。

そして準備をしている時にも多くの学びがあります。

例えば、マラソン大会に出るという目標があれば、毎日ランニングをするかもしれません。

学会発表と言う目標があれば、研究活動や日常の業務がより良いものになっていくでしょう。

まずは学会で発表してみてください!

 

どんな学会に行けばいいの?

学会っていくらかかるの?

と言う疑問にはこちらの記事を。

学会の選び方と参加の仕方

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA