新年が始まってもう1か月がたってしまいました。
年末年始はどうでしたか?
私はただただ食べすぎました。
私はお酒が弱いのであまり飲みませんが、
飲みつづけた人もいるでしょう。
年末年始は心筋梗塞の発症が多いのです。
その原因の一つはアルコールかもしれません。
先日、アルコールと不整脈に関する研究が発表されました。
「飲酒量が多い人は心房細動になりやすい。」
疫学的な研究で言われていることでした。
心房細動とは
心房細動とは、脳梗塞や心不全の原因になる恐ろしい不整脈です。
心臓は全身に血液を送る心室と、全身から血液を受け取り心室に血液を送る心房に分かれます。
人間を含む哺乳類の心臓は心房と心室が2つずつあります。
さて、不整脈の中の「細動」と言うのは、心臓の筋肉が痙攣しているような状態です。
その名の通り「細かく動く」のです。
全身に血液を送る心室が痙攣する「心室細動」では、血液を送ることができなくなり、突然死の原因になります。
AEDなどの電気ショックが効果的です。
しかし、全身から血液を受け取る側の心房が痙攣した場合、どうなるのか・・・。
突然死の原因にはなりにくいですが、心房が痙攣することで心房の中で血液によどみが生まれます。
その結果、血栓ができ何かの拍子に脳の血管に飛んでいくと「脳梗塞」が起こります。
また、心臓は心房の動きに合わせて心室が動くという仕組みになっています。
心房が痙攣していると、心室はいつ動いたらいいのかわからず、リズムがおかしくなります。
その結果、心拍が異常に速くなったり遅くなったりするのです。
私が調べたところによると、一般的な病院に入院する患者で最も多い不整脈は心房細動でした。
飲酒と心房細動の関係
はじめの話題に戻ります。
「飲酒量の多い人は心房細動になりやすい」
これは何故なのでしょうか。
飲酒量と、心臓の電気活動や構造の関係を調べた研究が発表されました。
研究はオーストラリアで75名を対象に行われました。
25名が飲酒をしない人。
25名が飲酒が1週間に2-7杯の少し酒飲み。
25名が飲酒が1週間に8-21杯の大酒飲み。
それぞれの被験者に、多極カテーテルを使ったHigh-density LA mappingという方法で左心房の電気活動と構造が調べられました。
大酒飲みの人は、飲酒をしない人と比べて、
左心房の電位が小さく、伝導速度が遅いことがわかりました。
また左心房での複合的な電位が起こる割合も多いことがわかりました。
これらの現象は心房細動と関連があることが分かっています。
一方、少しの酒飲みの人は飲酒をしない人と統計学的な差はありませんでした。
アルコール摂取が多いと、心房での電気活動が遅くなったりすることで、
心房細動が生じるのではないかと結論付けています。
アルコールによって電気活動や心房の構造が変わってしまうということですね。
これからも飲酒が多くなる季節です。
気をつけましょう。
引用元
Voskoboinik, Aleksandr, et al. “Moderate alcohol consumption is associated with atrial electrical and structural changes: Insights from high-density left atrial electroanatomic mapping.” Heart rhythm(2019).
https://www.heartrhythmjournal.com/article/S1547-5271(18)31131-7/fulltext