偏頭痛と脳卒中
偏頭痛。
悩まされる人も多いのではないでしょうか?
季節の変わり目はしんどいですね。
偏頭痛とともに目がチカチカする人も少なくないはず。
実は、目がチカチカする偏頭痛の人は脳卒中の発症率が高いらしい。
その原因を探った研究の紹介です。
Neurologyという雑誌からです。
脳卒中の一部は「心原性脳梗塞」といって、
心臓病が原因になります。
特に「心房細動」という不整脈があると、心臓の中で血栓ができて、
その血栓が脳の動脈に飛ばされると脳卒中を起こします。
心房細動についてはこちらの記事にも詳しく書きました。
目がチカチカする偏頭痛と心房細動
この記事で紹介する研究では、目がチカチカする偏頭痛と心房細動の関係を調べてます。
1993年から20年にわたる追跡をした前向きコホート研究。
11939人を調査した結果、
1516人が偏頭痛、その中の426人が目がチカチカしました。
ちなみに「目がチカチカ」は視覚前兆といいます。
英語ではVisual Aura(ビジュアル・オーラ)。
日本語でオーラっていうと、人の背後にキラキラ見えるものっていうイメージですが、
偏頭痛の目がチカチカもそんな感じなんですか?
偏頭痛の人の17%、頭痛のなかった人の15%に心房細動が発症しました。
視覚前兆(目がチカチカ)があるかどうかで心房細動の発症に差があるのか。
この研究ではコックス比例ハザード解析という手法を使っています。
心房細動の原因になりそうなのは、偏頭痛以外にもいろいろあります。
加齢とか高血圧とか高脂血症とか・・・。
この研究では視覚前兆を伴う偏頭痛が心房細動に影響するかを調べたいのですが、
その他の原因で結果が左右されてしまうかもしれません。
そのようなその他の原因のことを「交絡因子(こうらくいんし)」といいます。
そんな交絡因子の影響を統計学的に取り除くことを「調整する」と言います。
この研究なら、「年齢」や「血圧」などの心房細動発症に影響しそうな要因が交絡因子であり、それらを「調整」しなければいけません。
結果はどうだったか・・・・
つぎに書く研究結果は全て交絡因子を調整した後の結果です。
つまり、年齢や血圧の影響を取り除いた状態です。
目がチカチカする偏頭痛のある人は頭痛のない人に比べて
心房細動発症は、1.3倍でした。
偏頭痛のある人の中で、
視覚前兆のある人は、視覚前兆のない人に比べて、
1.39倍。
「偏頭痛」だけではなく、「目がチカチカ」も心房細動と関係があったのです。
心房細動は、脳卒中の原因になります。
目がチカチカする偏頭痛の人も脳卒中になる人が多いと言われています。
「心房細動」は、目がチカチカする偏頭痛の人が脳卒中になる潜在的な原因になっているかもしれない
というのがこの研究の結論です。
視覚前兆のある人は、心電図などで不整脈を検査することも必要になるかもしれませんね。
引用
この研究は全文が読めます→こちら