生活習慣病の男女差のお話。
男性と女性、心筋梗塞になりやすいのはどちらか。
それは・・・・・
男性です。
男性は女性の3倍です。
男性の方、ざんねん!
男性であること自体が心筋梗塞の危険因子。
心筋梗塞の危険因子にはいろいろありますが、それらの男女差を詳しく掘り下げた研究の紹介です。
BMJ(British Medical Journal)の論文です。
心筋梗塞の危険因子である、
糖尿病、高血圧、タバコ、肥満、心房細動、社会的要因などについて男女別にリスクを調べています。
約47万2000人が参加し、7年間で約5千人が心筋梗塞を発症しました。
参加者はイギリス在住40-69歳です。
参加者の56%が女性で、心筋梗塞発症者の29%が女性です。
やっぱり男性の方が発症率が高いですね。
糖尿病、高血圧、たばこ、肥満が、
全体での心筋梗塞の危険因子として判定されました。
それらの危険因子は、年齢を重ねるにつれてリスクが下がってきます。
言い換えると、高齢者では「加齢」が心筋梗塞の原因になるということです。
若年、中年者は糖尿病とかタバコが危険因子になるのですね。
そして、本題の男女差。
この男女差が驚きの結果でした。
タバコ、糖尿病(特に1型)、50歳代の高血圧で、
男性よりも女性の方が危険が高いという結果が出ました。
正確には過剰相対リスクという指標を使っています。
要するに、タバコは心筋梗塞を引き起こしますよ。
その危険度は男性がタバコを吸うよりも女性がタバコを吸う方が高くなりますよ。
ということです。
これはイギリスでの結果ですが、
女性の喫煙率の減りが悪かったり、公共の場の禁煙や分煙が進まない日本で、
心筋梗塞患者が増えている原因の一つかもしれないですね。
この研究にはもう一つ重要な結果があります。
年齢を重ねると、心筋梗塞の危険因子の影響は減ってくると言いましたが・・
何と、女性では加齢の影響がありませんでした。
どういうことかと言うと・・・・
男性では、タバコを吸っていても高齢であればタバコが原因で心筋梗塞になる危険は減ります。
しかし、
女性では、高齢であったとしてもタバコの危険度は減らないということです。
タバコの他に、糖尿病、高血圧も同様です。
そして、
高齢化とリスクの高い生活習慣がはびこることによって、
女性と男性の心筋梗塞発症率は近づいていくでしょう。
と締めくくっています。
ちなみに、タバコですが過去の喫煙習慣はあまり心筋梗塞の発症に関係しません。
タバコを今すぐやめたら病気にならないかもしれないですよ。
引用元は、
Millett, Elizabeth RC, Sanne AE Peters, and Mark Woodward. “Sex differences in risk factors for myocardial infarction: cohort study of UK Biobank participants.” BMJ 363 (2018): k4247.
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