心房細動に関する新しい論文は毎日のように出てきます。
なぜ心房細動がこんなにも注目されているのかと言うと、
おそらく、
最も罹患率が高い不整脈であること。
重大な心血管疾患や心不全に直結する不整脈であること。
が理由だと思います。
私の祖父の命を奪ったのも、根本的な原因は心房細動でした。
また、慢性炎症などで心房細動が進行することから、
心房細動は生活習慣病としての側面もあるのだと思います。
心房細動の予防や治療の研究は、死亡率や病気への罹患率を減らし、結果的に医療費を削減することになります。
では、今日も心房細動の論文を紹介します。
今日紹介するのは心房細動と「認知症」の関係を調べた研究についての論文です。
心房細動と認知症は関係があるのか??
心房細動は脳梗塞を引き起こす原因になります。
では、認知症との関係はどうなの??というのがこの研究の課題です。
研究はイギリスで行われました。
2008年から2016年に集められた臨床データを解析しています。
平均25年のフォロー期間に、心房細動の人のうち2.3%が、心房細動でない人のうち1.4%が認知症と新たに診断されました。
統計学的に分析すると、
心房細動の人が認知症になるリスクは、心房細動ではない人に比べて1.3倍でした。
心房細動では抗凝固薬(ワルファリンなど)治療を行うことが多いですが、
抗凝固薬治療を受けていても受けていなくても、認知症になるリスクが高いという結果でした。
研究期間中や研究期間前に、脳卒中(TIA:一過性脳虚血発作を含む)と診断された人を除外すると、
抗凝固薬を使っていない心房細動の人は、心房細動でない人に比べて1.3倍の認知症の発症率でした。
これらの結果から、心房細動は脳卒中の有無にかかわらず、認知症の危険因子であることがわかりました。
そして・・もしかしたら、抗凝固薬は心房細動の人の認知症の発症リスクを小さくする可能性もあります。
心房細動はジワジワと人の健康を奪っていく不整脈ですね。
怖い怖い。
このブログでは心房細動に関する記事をたくさん書いています。よければそちらもどうぞ。
研究の引用元
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