聖なる夜の心筋梗塞

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1.心筋梗塞はいつ起こるのか

心筋梗塞。

世界の死亡原因第1位

日本人の死亡原因第2位

輝かしい実績。

 

心臓に血液を送る冠状動脈が詰まって心臓の筋肉が壊死する。

心筋梗塞は突然死の主な原因と言われています。

死亡率も高いですが、壊死した心臓の筋肉は元に戻ることはなく、

不整脈や心不全などの合併症を引き起こします。

 

心筋梗塞はいつ起こるのでしょうか。

怖い怖い。

実は、起こりやすい日にちと時間があります。

 

それは月曜日の朝

 

確かに月曜日の朝って憂鬱。

 

週末をリラックスして過ごし、仕事が始まる日の朝。

仕事が始まるストレスでしょうか。

環境の変化でしょうか。

血管が細くなっているところに、トイレでいきんだ時などに血圧が上がり血栓が飛んで・・・

 

急激な血圧の変化や血管の収縮が急性心筋梗塞を起こすのです。

 

では、1年間を通してみたときに、

心筋梗塞が起こりやすい時があるのでしょうか。

 

そんなことを調べた研究を紹介します。

British Medical Journal (the BMJ)の論文からです。

 

2.心筋梗塞が起こりそうなイベントの数々

1998年から2013年までの283,014人のデータを調査しています。

この研究はスウェーデンで行われました。

 

この研究が行われる以前の研究では、心筋梗塞が起こりやすい日として、

スポーツイベントの日とイースター(感謝祭)が挙げられていました。

その他にはハリケーンなどの災害時も心筋梗塞が起こりやすいと言われています。

 

 

ブラジルではサッカーのブラジル代表が負けた日に心筋梗塞を発症する人が多いとか。

災害級の出来事と言うことですね。

 

 

そんな先行研究の結果も踏まえ、

この研究では「祝日」「スポーツイベントの日」に心筋梗塞が起こりやすいかどうかを調べました。

 

スウェーデンなどの欧米諸国で大切な休日は次の通り。

 

・クリスマス

・New Year

・イースター

・夏至

 

夏至・・!??

 

日本ではただの昼間が一番長い日。

6月の真っただ中で暑いし疲れるし。

食べ物はすぐに痛むし。

良いことと言えば、太陽光発電がもりもり頑張っていることくらい。

そんな日ですが、

欧米の国々ではクリスマス休暇の次に大切な日らしいです。

飲んで歌って踊って騒ぐ日らしい。

 

来年の夏至はスウェーデンを見習って大騒ぎしよう。

 

話はそれましたが、次は欧米人にとって大切なスポーツイベント。

 

サッカーのFIFAワールドカップEURO選手権

そして夏季・冬期のオリンピックです。

 

3.聖なる夜の心筋梗塞

一体どんな時に心筋梗塞が増えたのでしょうか。

 

データを分析した結果、

最も心筋梗塞を起こしやすい日は、

何と!!

 

クリスマスイブ!!

 

あーーん(泣)

1年で一番楽しい日なのに病気になっちゃ嫌よ嫌よ

そして、この結果は高齢者や糖尿病などの持病がある人に特に顕著だったのです。

嫌よ嫌よ。いつまでも元気でいてね、おばあちゃん。

 

クリスマスイブは、他の日と比べて1.37倍(37%)も心筋梗塞になりやすいことがわかりました。

 

そして、サンタさんが来てウキウキするクリスマスの日。

その日も29%増しの心筋梗塞になりやすさ。

 

そしてそしてスウェーデンではクリスマスの次の日もお休みらしい。

何て素敵な国。

お休みの名はBoxing Day

ボクシングの日ではありません。

そのボクシングでーもやはり21%増し

 

素敵な素敵な3連休に心筋梗塞なんて・・・・。

 

気をつけましょう。

 

どんちゃん騒ぎをするイメージのある大晦日(New year’s Eve)は、

心筋梗塞は8%減。

しかし、元日になると20%増

 

なんのこっちゃ。

 

クリスマスイブは年間で最も心筋梗塞になりやすい日だったのです。

 

その他の休日では・・・

イースターはほぼ変わらず。

以前に行われた研究と異なる結果でした。

 

そして夏至。

夏至休暇は12%増でした。

 

以前の研究で心筋梗塞になりやすいと言われていたスポーツイベントですが、

この研究では特に心筋梗塞になりやすいというわけではありませんでした。

 

ブラジルほどサッカー熱は強くないということか。

 

日本ではどうなんでしょうね。

最近はフィギアスケートの高橋大輔に興奮して血管が引きちぎれそうでしたが、

かろうじて心筋梗塞にはなりませんでした。

 

カッコよかったですね。

 

4.もう一つの結果

 

あぁ高橋さんカッコよかった。

 

さて、この研究にはもう一つ面白い結果があります。

 

1日のどの時間帯に心筋梗塞になりやすいかということも調べられています。

 

年間を通してなりやすいのは、朝の8時から10時

そしてやっぱり圧倒的に月曜日

これは今まで言われていたことと一緒です。

 

Monday Morning Attack

 

 

しかし、クリスマスからニューイヤー休暇にかけては・・・

心筋梗塞になりやすい時間帯がずれていました。

それは、夜の10時から11時

 

やっぱりお酒を飲んだり騒いだりする時間帯なのです。

 

あ~もう大変。

救急隊にもクリスマスケーキを食べさせてあげて。

 

 

時間帯が違うということからも、月曜日に心筋梗塞が起こりやすいのと、

クリスマスに心筋梗塞が起こりやすいのは理由が違いそうですね。

 

5.研究結果のまとめと解釈

研究結果をまとめると、

・クリスマス休暇は心筋梗塞が起こりやすい(特に高齢者)

・クリスマス休暇の心筋梗塞は夜におこりやすい

 

なぜこんな結果になるのか。

研究者は次のようなことを言っています。

 

クリスマス休暇は、家族が最も集まる時。

家族があつまって、お酒を飲んだりご飯を食べたり・・・

そして環境が変わったり、気を使ったり。

そんなことが特に高齢者には心臓への負荷を高めるのかもしれない。

 

もちろん、この研究では調べていないような要因によって心筋梗塞が起こっている可能性もあります。

 

しかし、大規模なデータでクリスマスに心筋梗塞が起こりやすいのは確からしい。

 

クリスマスやお正月。

みんなが久々に集まり、

孫に会って大喜びのおじいちゃんおばあちゃん。

お互いの嬉しそうな顔を見てついつい子どもの世話を任せたりしますが、

ほどほどにしといた方が良さそうですね。

 

つまらない

年末特番と

冠状動脈

 

 

私も心筋梗塞になるといけないので、人にあげるお年玉は少しにしておこう。

 

引用元

Mohammad, Moman A., et al. “Christmas, national holidays, sport events, and time factors as triggers of acute myocardial infarction: SWEDEHEART observational study 1998-2013.” bmj363 (2018): k4811.

 

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