ハゲタカ雑誌からの編集者への招待

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時々、怪しい英語のメールが届きます。

 

「あなたの・・・の研究の内容を論文にしてみない?オープンアクセスで査読付きです。〇〇日まで(1週間後くらい)に提出してね!」

・・・だいたいハゲタカ雑誌からの論文投稿招待のメールです。

 

ハゲタカ雑誌とはろくな査読もしないで適当な論文をオープンアクセスで掲載し、研究者からたくさんの投稿料をせしめる雑誌です。

オープンアクセスとは読者が無料で論文を読めるもので、雑誌の掲載料は研究者が払います。

現在、オープンアクセス化はどんどん進んでいますが、ほとんどの雑誌はしっかり査読をして、様々な面でチェックされた論文を掲載しています。

ただ、「金儲け」をしたい雑誌側と、「業績」が欲しい研究者側の利害が一致した時に、質の悪い論文でも多額の掲載料さえ払えば形だけの査読を行って論文を掲載する雑誌もあります。

そのような雑誌は科学的な価値はなく、金もうけだけをしているため、「ハゲタカ雑誌」または「ハイエナ雑誌」と呼ばれています。

英語ではpredatory journal(捕食ジャーナル)と呼ばれます。

どの雑誌がハゲタカなのかを一覧にしたものがいくつか公表されていますが、私たちの業界の身近な雑誌もハゲタカ雑誌としてリストに名前のあるものもあります。

 

さて、他にも変なメールが良く来ます。

「あなたの○○の論文の内容、今度私たちの学会で発表しない?3日後までに抄録を送って!」

これは十中八九、ハゲタカ学会です。

前述のハゲタカ雑誌と同様、学術的価値のない金もうけだけの学会であることが多いです。

だいたい、3日で抄録を送れとかありえない・・・。

 

ハゲタカ雑誌からの編集者への招待

 

他によく来るメールです。

「あなたを○○の雑誌の編集者に招待したい。ぜひ受けてください。あなたの分野で著明な○○さんが編集長だよ」

 

だいたい、聞いたこともない会社の聞いたこともない雑誌からの編集者への招待です。

著明な○○さんは、だいたい日本人の名前が書いてあり、知らない人です。

 

しかし、一応調べるんです。

 

まず、雑誌が「ハイエナ雑誌リスト」に入っているかどうか。

 

入ってました。

 

この時点で編集者への招待はお断りです。

 

しかし、気になるんです。

著明な○○先生。

 

その○○先生の名前を検索すると・・・

 

 

実在しました。

 

 

その人の所属機関のホームページでどんな研究をしているか見てみます。

すると、遠からず近からずの研究内容。

 

大学に所属する研究者(教員)の場合、ホームページで研究実績や所属学会などを公表している場合が多いです。そしてそこには雑誌の編集など行っていれば、それを書いている人も多い。

 

さて、その著明な○○先生、

当該の雑誌の編集者ですよ、という情報はありませんでした。

 

この時点で、この先生が勝手に名前を使われている可能性もあります。

 

そこのところはわかりません。

 

 

次に雑誌のホームページを見てみます。

 

だいたい、編集者の名前が書いてあります。

 

 

編集長は前述の著名な先生。

 

そして、その会社の本拠地は海外にあるにもかかわらず、5人程度の編集者のうち2人が日本人の名前なんです。

 

はぁ~。日本ってカモにされてんのかな。

 

と思いながら、その編集者のうち一人を調べてみることにしました。

 

 

また勝手に名前使われているのかな。

 

 

そして調べます。

 

実在。もちろん大学も実在。

 

その大学のホームページでその人の情報を見てみる。

 

 

業績や実績に・・・

 

 

・・・・・その雑誌の名前が書いてありました・・。

 

何やねん、編集者受諾してやってんのかい!

 

そして、その人はいくつかの雑誌で編集者をやっていました。

 

 

おそらく良かれと思って編集者を受諾し、業績に載せているのでしょう。

 

 

その人が載せていた「編集者」となっている雑誌は、

全て「ハゲタカ雑誌」でした・・・。

 

 

 

せつない・・・

 

 

ハゲタカ雑誌の編集者をいくつも掛け持ちをしていて、それを業績に書いていることで、その人のメリットは何もないでしょう。

 

 

だって、私のような超無名の実績の乏しい研究者でさえ、

「えぇ・・・この人大丈夫?」そう思うのだから。

 

 

そして、この大学も大丈夫?

 

とさえ思ってしまいました。

 

 

ハゲタカ雑誌の編集者をやっていることを公表することで、明らかに「負のイメージ」が伴いました。

 

イメージだけで終わればいいんですが・・・

 

 

ハゲタカ雑誌からの招待は容易に受けるべきではないと、改めて思いました。

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