ウイルスってそもそも何のために存在しているの?
そう思いません?
実は、人間を含む生物にとってウイルスは必要なものかもしれません。
ここのところ寝ても覚めてもコロナコロナ。
ウイルスに取りつかれたような毎日ですが、
このブログにもその波が押し寄せてきました。
はい、すいません。
ウイルスの話題です。
ウイルスは何のために存在するのか?
ヒトゲノムが全て解析されてから17年。
医療に応用されるまでにゲノムに関する研究は進歩しつつあります。
私も含めて多くの人が、
ゲノムと言うとDNA。
DNAというとたんぱく質合成の情報。
という認識だと思います。
しかし、実際はヒトゲノムを構成するもののうち、たんぱく質を合成する情報を持つのはわずかに1.5%程度しかないそうです。
えぇぇえぇえっ!!
じゃあ他の部分は何なの?
と思うのですが、多くは何をやっているのか未知らしい。
しかし、約9%はHERV(ヒト内在性レトロウイルス)と呼ばれる部分だということがわかっています。
HERV?
内在?ウイルス??
HERVは、
実は、ヒトが過去に感染したウイルスの名残だと考えられているのです。
これらのことはこの本に詳しく書いてあります。
2014年に発刊されたこちらの『破壊する創造者――ウイルスがヒトを進化させた 』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)、
私は5年前くらいに読みました。
内容が非常に衝撃的で、読んだ時の感動は今も忘れられません。
ウイルスに対する考え方が全く変わったのです。
(もちろん私はウイルスの専門家ではありません)
何と、ウイルスが私たちの進化を促進させているというのです。
進化と言うと、自然選択や遺伝子の突然変異などを原動力にして進んできていると思っていましたが(諸説あり)、
どうやらそれだけではないようです。
この本によると生物の進化にウイルスが関わっているかもしれないというのです。
ウイルスはDNAまたはRNAとたんぱく質の殻だけから成り立っています。
「生物」なのか「生物でない」のかもわかりません。
ヒトが次の世代の子孫を残すには20年程度かかりますが、
ウイルスは短期間に爆発的に増殖できます。
自分と同じ遺伝子を短時間で大量にコピーすることができるのです。
短時間に大量にコピーするという事はそれだけ突然変異も起こりやすくなります。
ウイルスは動物や植物に寄生(感染)して、感染した生物のDNAやRNAを使って増殖します。
その時に感染した生物のゲノムの中にウイルスのゲノムが入るというわけらしいです。
というわけで、ウイルスはヒトを含む生物のDNAを書き換えることができるのです。
「地球」や「生態系」という大きな視点で見ると、
ウイルスが病原性を発揮すると、その生物の個体数は減ることになります。
すると、他の生物種にとっては有利に働くかもしれません。
例えば、コアラにだけ病原性のあるウイルスがあるらしいですが、
たまにコアラに病気の大流行を起こすとコアラの個体数が減ります。
その結果、食べ物であるユーカリが増えます。
そのように生態系の維持に役立っているかもしれません。
そしてウイルスが病原性を持たない時、単純にDNAなどが少し書き換えられる可能性があります。
すると、その生物が子孫を残した時によりその環境に適した個体が生まれてくるかもしれません。
そのようにしてウイルスは進化を推進しているというのです。
よく考えてみると、平成中期から後期産まれの人は昭和後期から平成初期生まれに比べて、背が低くて足が長い傾向があると言われますが、
「足が長くなる」という変化がそんなに早く起こるとは進化論だけでは説明がつきません。
(背が低いのは、出産の高齢化と医療の進歩で低出生体重児が多くなっているからと思います)
地球でのウイルスの役割、奥が深そう。
これは立証された学説ではないかと思いますが、多くの本でも述べられています。
果たして、新型コロナウイルスは人間にとって味方なのか敵なのか・・・。
私はコロナウイルスの影響で業務がだいぶ減ったので、とりあえず論文を書きます。
この本は「破壊する創造者」よりも易しいです。