運動を始めるのに良い年齢は?

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前回の記事で身体活動ガイドラインを紹介しました。

身体活動ガイドライン2018年第2版

ガイドラインの序文の中に、「運動はしないよりした方が良い。いつ始めても遅くない」という文章があります。

 

果たして本当なのでしょうか。

 

2019年3月にJAMAに掲載された論文を紹介します。

アメリカで行われた大規模な前向きコホート研究です。

 

キーワードの一つはLeisure-time physical activityといって、

余暇時間の身体活動量」です。

 

仕事や家事以外の時間にどれくらい身体活動をしているのかが、「余暇時間身体活動量」です。

例えば、フットサルのチームに入っていたり、趣味でサイクリングに行ったりといったことが含まれます。

 

中年期(30-60歳代)の余暇時間身体活動量が多いほど、心血管疾患になりにくいというデータがあります。

 

そんな働き盛りの時に運動なんてできないよ・・・。

仕事と子育てに追われてどんどん年ばっかり取って・・・。

 

やっぱり運動は若い時に初めて、長く続けないと健康に対する効果はないのでしょうか。

 

例えば・・・

50歳になりました。

やっと子どもが落ち着いたんやけど、やっと自分の時間を持てるようになったんやけど、

今から運動したのでは遅いのかなあ?

 

そんな疑問について調べた研究です。

 

1995年から1996年に登録された31万人程度のデータを分析しています。

それらの対象者の余暇時間身体活動量と、

全死亡率、心血管疾患死亡率、ガン関連死亡率を調べました。

 

2015年までに約7万人が死亡し、約2万2千人が心血管疾患、約1万6千人がガン関連死亡でした。

 

余暇時間身体活動と死亡率の関連は、

余暇時間身体活動が多いほど、死亡率は小さくなりました

 

この研究では、身体活動量の変化と死亡率の関連も解析しています。

 

若い時の余暇時間身体活動量を維持できた人は、

余暇時間身体活動量がない人に比べ、

全死亡率が0.64倍

心血管疾患死亡率が0.58倍

ガン関連死亡率が0.86倍でした。

やっぱり若い時に運動を始めて、続けるのってとっても大事なんですね。

 

では、身体活動を始めるのが遅かった人。

多くは50歳代ころに身体活動を始めた人はどうだったのでしょうか。

余暇時間身体活動量がない人に比べて、

全死亡率は0.65倍

心血管疾患死亡率が0.57倍

ガン関連死亡率が0.84倍でした。

 

運動を始める年齢が遅くても、十分に身体活動の効果があることがわかります。

 

「運動を始めるのは、いつでも遅くないのよ」という結論。

そして若い時から運動している人は、できればその運動を続ける努力をしましょう。

と言うことでした。

 

今は忙しくて運動できなくても、できるときになったら運動を始めたらいい。

それでも十分に健康に対する効果がありますよ。

忙しい日本人にとって神様のような論文でした。

 

引用元

全文ダウンロードできます。

Saint-Maurice PF, Coughlan D, Kelly SP, et al. Association of Leisure-Time Physical Activity Across the Adult Life Course With All-Cause and Cause-Specific Mortality. JAMA Netw Open. 2019;2(3):e190355. doi:10.1001/jamanetworkopen.2019.0355

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