絵を描く人は、自分の絵を人に見てもらいたい。
何かを作る人は、自分の作品を人に見てもらいたい。
科学者は、論文を書いたら人に読んでもらいたい。
自分が何かを生みだした時に、世に広めるために有用なもの。
SNS。
実は私も何かを作ったらSNSで発信しますし、
論文を書いたらやっぱり発信します。
そしてこのブログに掲載するような論文を探すのにも、
Twitterを主に使っています。
SNSは目当てとなる論文を探すのには向いてないかもしれないけれど、
常に最新の情報を簡単に得るのにはとても良いと思います。
でも、本当にSNSって論文を読んでもらうための効果があるのでしょうか。
それを胸部外科の雑誌が調べた研究があったので紹介します。
Twitterは論文を世間に広める効果があるのか
胸部外科の雑誌、The annals of Thoracic Surgeryは、
雑誌に掲載された論文がTwitterで広まって読まれるのかどうかを次のような方法で検証しました。
2017-2018年に雑誌に掲載された論文112編に対して無作為化比較試験を行いました。
ランダムに選ばれた56論文は、
Twitterで1日に4論文ずつ14日間、専用アカウントで論文がTweetされました。
Tweetするアカウントは上記の雑誌の専用アカウントで、
フォロワー数は4000人程度でした。
のこりの56論文はTweetはされませんでした。
さて、Tweetの効果はどうだったのでしょうか。
その結果、
Tweetされた論文では、効果的にAltmetric scoreが向上していました。
Altmetric scores(オルトメトリクス)とは、論文の影響度を評価する指標です。
引用数の他、ウェブでの閲覧、ブログやSNSでの掲載、ブックマークされた数などで評価をされます。
雑誌の評価であるインパクトファクターと違って、論文を評価するものです。
論文をTwitterで掲載すると、そんなオルトメトリクスが向上することがわかりました。
・・・当然のような気がしますが・・・。
インパクトファクターについてはこちらの記事をどうぞ。
さて、その他にもTweetすることで効果がありました。
Mendeleyへの保存数が増えたのです。
Mendeleyとはウェブ上で論文を管理するアプリケーションで、
引用文献リストなどを簡単に作ってくれるので、とても便利で私も使っています。
おそらくTwitterで多くの人の目に触れた結果、論文を保存することが増えたのでしょう。
この研究結果で大切なのは、Mendeleyは主に科学者が使うツールですので、
Mendeleyへの保存数が増えたということは、科学者も論文を探すのにSNSを一般的に使っているということですね。
また、Tweetする時間によって注目度が変わるかを調べると、
午後1時(世界標準時間)にTweetすると最も注目度が高く、
午後9時にTweetすると最も注目度が低いという結果でした。
SNSを触るのって夜が多いイメージがあったので意外でしたが、
SNSで論文を読むのは昼間が多いんですかね。
夜はもっとブラックなことをつぶやくのでしょうか。
そういえば私もTwitterで論文を読むのは電車での移動中です。
この研究結果は、当然と言えば当然のような結果なのですが、
実際に検証してみるという事は大切ですね。
それにフォロワー数4000人程度でも効果があるんですね。
やっぱりSNSは何かを世間に認知させるツールとしては非常に優秀であり、
それは科学の世界でも同様だという事がわかりました。
私も論文を書いたらSNSで紹介しようと思います。
その前に論文を書きなさい。
はい。わかりました。
がんばります。
引用元 2019.12.23時点でIn pressです。