小さい時のストレスは、将来にまで影響を及ぼすもの。
実際にどんな影響があるのか。
ストレスを受けると将来の行動はどうなるのか。
解剖学的にも影響があるのか。
人を対象にした研究では、疫学的な研究ができても実験的研究は難しいです。
生後間もない時期のストレスがその後行動や神経系の発達にどう影響するか。
マウスを使って実験的に行われた研究を紹介します。
実験は2世代のマウスにわたって行われました。
全てメスのマウスを使っています。
生後間もない時期にストレスにさらします。
どんなストレスかというと・・・
1日当たり3時間、母親と離させる。
考えただけで辛い・・・。
マウスも人間と同じ哺乳類。
生後間もない時期に母親と離すことがどれだけストレスになることか・・。
かわいそう。
一方、比較のためにストレスにさらさない群をつくります。
その群では1日当たり15分間だけ母親と離させています。
ストレスにさらされたマウスは、活動的ではなく、空間認知や記憶の発達が遅れました。
解剖学的な違いを調べると、ストレスにさらされたマウスは海馬の記憶や学習を司る部分が未成熟でした。
生後間もない時期のストレスってそんなに影響するのか・・・。
研究はさらに続きます。
そのマウスが大きくなり出産した後、自分の子に対する行動および子どもの行動に違いがあるかを調べられています。
やっぱり、ストレスにさらされたマウスは自分の子に対する母性的な行動が希薄でした。
そして、ストレスにさらされたマウスの子どもは・・
社会的な行動が未熟で、性に特化した行動に置き換わりました。
欲望の抑制が効かないということでしょうか。
これらの詳しいメカニズムはわかりません。
しかし確かなのは、ストレスにさらされたマウスは子どもと親との関係づくりに問題があったようです。
それが、子孫の行動にも影響したものと考えられています。
遺伝子も調べられていますが、ストレスにさらされたマウスとそうでないマウスに遺伝子は大きな差はありませんでした。
と言うことは、「新生児期のストレス」が子孫まで影響したことになります。。
小さい頃のストレスって次の代まで尾を引くんや。
衝撃の結果です。
この研究でのストレスは「母親との別離」です。
だから「母性的な行動」「親と子の関係づくり」に影響したものと思います。
ストレスの種類によっては影響は違うのだと思います。
思えば、今では産後はほとんどが母子同室ですよね。
両親と子どもが生まれた直後から一緒にいることはとても大切なこと。
マウスを使った研究ですがとても考えることの多い論文でした。
実は私の娘ブリちゃんは帝王切開で生まれました。
帝王切開は大手術。
とても母子同室で過ごせる状況ではありません。
もちろん1日に何回か看護師さんが病室に連れて来てくれました。
さらにブリちゃんは生後3日で黄疸によってNICUに移されました。
そこでも必ず両親との面会、ふれあい、授乳の時間が毎日とられていました。
新生児の時にストレスを感じてたかな・・・・。
3歳になった今、わがまま放題で大変ですが、
思う存分に甘えさせてあげようと思いました。
甘えてくれるうちに。
たくさん一緒に遊ぼうと思いました。
遊んでくれるうちに。
引用論文