ヘディングの回数と脳の損傷の関係

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サッカーは手を使ってはいけないスポーツ。

足以外にプレーで大切なのが頭です。

ヘディングですね。

 

見ている側からすると、頭でボールを跳ね返したり、シュートを打ったりするなんて、

頭や首に衝撃がありそう・・・。

怖いわぁ・・。

痛そうやわぁ・・・。

 

 

私もサッカーやってたんですけどね。

ヘディング嫌いでした。

 

ヘディングって脳に影響ないの?

10歳代サッカー選手の頭部への衝撃が脳に損傷を及ぼしているかどうかをMRIで調べた研究の紹介です。

 

対象は10歳代のサッカー選手

シーズン前後の脳をMRIでスキャンをして、頭部への衝撃の回数との関連を調べました。

MRIは病院での患者の診断などには、拡散強調画像(DWI)などが用いられます。

難しいことは省きますが、この研究ではdiffusional kurtosis imaging(DKI)と呼ばれる特殊な計算方法が用いられています。

この研究はアメリカで行われています。

 

脳は神経細胞の集まりです。

神経細胞は、核などの中心部がある細胞体と、細胞体から伸びた軸索に大きく分けられます。

細胞体から発せられた信号は、軸索を伝わって、また次の神経細胞の細胞体に伝達されます。

脳の中で細胞体が集まっているのが、大脳の一番表層部(大脳皮質の灰白質)です。

そして、大脳の中にも一部細胞体が集まっている部分があります。

その部分を大脳基底核と言います。

細胞体が集まっている部分は、運動や感覚、情報の統合、記憶などに大きくかかわります。

この研究では、それら細胞体が集まっている部分に、

サッカーシーズン前後でMRI画像の変化があるかどうかを調べています。

 

 

ヘディングの回数と脳の損傷の関係

調べた結果は・・・。

 

シーズン前後のMRIの変化と、頭部への衝撃の頻度の関係を調べたところ、

脳の次の部分に変化があり頭部への衝撃の頻度と関係がありました。

つまり、頭部への衝撃(ほとんどがヘディング)が多ければ多いほど、脳画像の変化が大きかったということです。

 

まずは脳の内部、大脳基底核です。

特に視床被殻で変化が大きかった。

 

視床は全ての感覚の中継点。

被殻は運動の調節に大切なところ。

 

「変化が大きかった」とは、微細な損傷が生まれていたと解釈できるそうです。

そのため、ヘディングの回数と視床や被殻の微細な損傷が関係があるということです。

 

・・・怖い。

・・・ヘディング怖い。

 

 

次に脳の表層です。

表層部では特に脳の後ろ側横側で変化が大きかったのです。

 

これはどういうことか。

ヘディングとはそもそもオデコでボールをバシッと打つ技術。

頭の前側に衝撃があるはずです。

 

しかし、脳の表層部で実際に損傷して良そうなのは側面と後ろ側。

 

脳の損傷は、直撃損傷(coup injury)反衝損傷(contrecoup injury)があります。

直撃損傷とは、衝撃を受けた部分の脳が損傷するもの。

反衝損傷とは、衝撃を受けて頭蓋骨の中を脳が急激に移動したり圧が変化することで、損傷場所と反対側が損傷することです。

頭蓋骨は固くて、その内部は液体なども多く柔らかいから起こることです。

後ろ側に転倒して後頭部を打った人が、脳の前側を損傷することがよくあります。

 

今回の研究の結果、脳の前側ではない部分の変化がヘディングの回数と関係がありました。

ヘディングでの脳損傷は、この反衝損傷の可能性がありそうということです。

 

なんにせよ怖い・・・。

 

この研究は若いサッカー選手を対象にしています。

若いからこそこの研究結果のようになるのかもしれません。

 

サッカーを長年続けていても、病院の検査で発見されるほど脳に損傷を受けているということは、

今のところありません。

しかし、この研究で見つかったような微細な損傷がどんな影響を与えるのかもわかりません。

 

 

サッカー選手にヘッドキャップをつけることも議論されているらしい。

 

今後の研究が気になるところです。

 

研究の引用元は、

Gong, Nan-Jie, et al. “Microstructural alterations of cortical and deep gray matter over a season of high school football revealed by diffusion kurtosis imaging.” Neurobiology of disease 119 (2018): 79-87.

 

ここでAbstractだけ読めます。

 

 

 

 

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